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日本は長期的視点に立てるのか?

少し前にtwitterで連投した日本の高齢化問題に対する考察をこちらにも転記しておこうと思います。

ツイートのきっかけはちきりんさんのこちらのVoicyを聞いたこと。

このVoicyもゾッとする内容でしたが、そのVoicyに貼り付けられていたブログがさらにゾッとする内容でした。一度読んでみてください。

(私の理解ですが)このブログの主旨は、シルバー世代が有権者の大多数を閉めるようになると、政策が目先の老後対策になってしまい、日本の将来に向けての改革が不可能になるよ、という警鐘です。

このブログは少し昔に投稿された内容だったので、以下のように今のデータで再計算してみましたが、私はブログで紹介されていた最終深夜バスには間に合わないとの結論に至っています。その時の計算内容をメモとして残しておきたいと思います。


ちきりんさんのブログにリンクされていた資料は2005年の人口統計だったので、まずは2020年のものでざっくりと集計してみます。

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この集計が正しいとすれば、(A)55歳以上85歳未満の人口(以下、「シルバー世代」という)を、(B)20歳以上55歳未満(以下「子育て世代」という)の人口が上回るのは2025年までで、「子育て支援」が政策として掲げられる(=子育て世代のために選挙対策をする)のはここ数年間だけのように見えます。

そこで、どのくらい変化が起きれば、短期目線の(老後)政策でなく、長期的な視点の政策が出てくるようになるのかを考えてみます。長期視点に立った政策が出てくるには「候補者」と「投票者」の両方で子育て世代が優位である必要がありますが、今回は投票率という指標だけが変化するという前提で簡単にシミュレーションしてみます。

まず、過去の投票率を参考に、シルバー世代の投票率が65%、子育て世代で45%と仮定した場合の総票数がこちらです。この投票率では明らかにシルバー世代が票数で上回っていて、優位であるのが分かります。

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これを反転させるには、シルバー世代の投票率が下がり、子育て世代が上がるか、あるいは人口構成が変わる必要がありますが、私の計算では仮にシルバー世代の投票率が現在の子育て世代と同じ程度まで下がった場合でも、票数ではまだシルバー世代優位の状況が続きます。

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では、仮に子育て世代の投票率だけで反転を試みた場合にはどのくらいの投票率が必要なのでしょうか?

私の試算では80%ほどの投票率が必要です。とても大きな数字に見えますが、実は80%という数字はコロナ時の日本のマスク着用率に近く、一見不可能ではない数値にも見えます。しかし、おそらくですが、子育て世代の投票率が80%まで上がる状況では、それを抑えるようにシルバー世代の投票率も同時に上がるでしょうから、反転は絶望的な感じがします。

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ところで、イギリスでは昨年42歳の首相が誕生しましたが、イギリスの人口比率も見てみました。

GOV.UKでは年齢の刻みが20歳ではなく、18歳(イギリスでも選挙権は18歳から)に区切られていたので日本のそれと単純比較はできませんが、子育て世代はシルバー世代の1.6倍くらいのボリュームがあるようです。(ちなみに日本は2020年現在で1.15倍です…)

それが若い首相誕生につながったのかは分かりませんが、関連がないとも言い切れないように思います。

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最後に、このUKの人口テーブルは in each age group, by ethnicity (年齢ごと、民族ごと)となっていて、日本がこれから何をすべきなのかを考えさせられるものでした。そして、それは「子供たちのために日本が将来ずっと発展していく国であって欲しい」と思っている世代にしか発想、許容できない社会改革なのだと思ってしまったのでした。